日記のページ(2014年)です。

・10/26「つながり(科捜研の女)」

今日は科捜研の女の撮影でした。京都府警本部の広報課課長の役です。

実は、「科捜研の女 13」クリスマススペシャルで「広報課係長 三枝義史」と言う人物として登場し、 その後、「科捜研の女 13」の後半でレギュラー出演していた江崎和帆と言う人物の上司役として第9話と第10話に出演させていただきました。

「科捜研の女 14」の撮影も始まり、江崎和帆が登場しなくなった今シリーズでは「広報課係長 三枝義史」も登場する事もないだろうと寂しく思っていましたら なんと第5話で台本を頂きました。それも一階級昇進しており「広報課課長」と言う役でした。本当に嬉しい事でした。

そして本日の撮影です。本日は第8話の撮影で、私自身はセリフがないので台本を頂いていないのですが、やはり「広報課課長」としての出演でした。 事務所の台本をお借りして読んでみると、台本にはちゃんと「○○○と広報課課長が並んで座っている」と書いてあります。

本来ならば、一緒に座っているのが広報課課長の私でなくても全然成立するシーンであるにも拘わらず、わざわざ私を使ってくれたのです。 きっとどなたかが気に掛けてくれているに違いありません。 それが、プロデューサーなのか脚本家なのか監督なのかは分かりません。 私が「広報課係長、課長」として出演した時の脚本家の名前を見返してみると、とある脚本家の名前が多い事に気付きました。 もしかするとこの脚本家の方が気遣ってくれているのかも知れません。

とにかく、私が知らない所で、いろんな方が私を気に掛けてくれています。 お陰でこうして楽しく毎日役者の仕事が出来ています。本当にありがたい事です。 私を気に掛けてくれている方々の期待を裏切る事のないように、これからもがんばって参ります。 (Oct 26,2014)

・04/06「撮影方法替えました?(みおつくし料理帖 2)」

先日、台本を頂きました。二年前にも台本を頂いたスペシャル番組のパート2です。 と言う事で、監督も二年前と同じ監督でした。

二年前と言うと、ここの日記にも書きましたが、あの番組もこの番組も、カメラを二台回しての長回しをして、 しかも同じ芝居を何度も繰り返してドラマを作る為の素材集めをすると言った手法の撮影が大流行だった頃の事です。

今回台本を頂いた監督も二年前、この手法を撮影をされていた方なので、 「今回も同じ芝居を何度も何度も繰り返すんだろうな」と覚悟を決めて撮影に臨みました。 ところが・・・

同じ監督ですよね・・・?不思議です。今回も多少のセリフのダブらしはあるものの、前回のような極端なダブらしがありません。 ジグソーパズルを嵌めていくように、次々にカットが埋まっていきます。とても気持ちが良いのです。

特に感動的だったのは、このドラマのクライマックスのシーンなのですが、かなりの感情が優先する大事なシーンでの事です。 時間にして約2、3分はあったでしょうか。大事なシーンですのでカットも細かく15カットほどあったと思います。 (私の勝手な推測ですが)恐らく二年前の監督ならばこの大事なシーンを撮影するのに、 3、4回はカメラの位置を次々に替えながらシーン全体をダブらせて撮影し、 役者も集中力が限界の状態で撮影したのではなかと思います。 ところが、今回はこの大事なシーンを撮影するのに、二台のカメラを配置して、それぞれのカメラが主役の二人の表情を狙い、 なんと一回だけの撮影でOKを出されました。 ひと昔前の長回しカットのような、一つのミスも許されない緊張感。カメラマン、録音部、照明部、その他の部所のスタッフ、そして主役の二人。 その場に居合わせた全員が一つになった感覚。この久し振りの感覚がとても素晴しかったです。

さすがに2、3分ほどの長回し。本番の途中で、街中のノイズが入り、「ん?もう一回本番するかな?」と思った所へ監督のOKの声。 主役お二人の素晴しい芝居と、お二人の精神を考慮されての結果なのか、ノイズが入ったほんの一部分だけのオンリを録る事でOKになりました。

私も役者家業を長年やっておりますが、15カットをNGなしの一回の本番で撮影したと言う記憶はありません。 初めての経験です。感動してしまいました。

それに加えて嬉しく思った事をもう一つ。 今の撮影の流行りとして、「変なリアリティを追求する」と言う事がありますが、 今回の監督の頭の中にはしっかりとしたファンタジーのイメージがあったようで、 その絵を作る為には「変なリアリティ」にはこだわらないと言う姿勢が見えて嬉しく思いました。

本当に楽しい撮影でした。作品の出来上がりが楽しみです。 みなさんがこの作品をご覧になる時には、今回のこの日記に書きました事を思い出しながらご覧くださると私自信とても嬉しく思います。 (Apr 06,2014)

・03/28「花粉症(刑事110キロ)」

花粉症の季節です。私の周りでは皆が苦しんでいます。勿論私も苦しんでいます。 特にここ数日症状がきついです。咳がきつくて夜は眠れないし、朝起きても頭がボーっと痛いし。 ここ数年の中では最悪の状況です。そんな中、役のお仕事が。

普段は薬を飲む事を避けています。常用していると薬の効果が薄れるし、ここ一番という大事な仕事の時に効果がないと大変な事になるからです。 しかし、昨日ばかりはあまりに辛いので数年振りに薬局で売ってある市販の薬を飲む事にしました。 確かに頭痛は収まりました。でも、頭はより一層ボーっとして集中力がなくなってしまいました。 「ん?こんな経験、以前にもあるぞ」と思い返してみると、今から20年ほど前の春の事です。 花粉症の辛さに、薬を飲んで撮影の仕事に行きました。しかし、頭がボーっとして集中力がなく、監督の指示に応えるが精一杯の状態でした。 その日に、監督がどんな指示をされたのか、どんな芝居をしたのか、全く覚えていません。それほどまでに集中力がありませんでした。 その時の状況と全く同じです。ヤバい!

今日は、役としての撮影の日。案の定、咳がきつくて夜はほとんど眠る事ができませんでした。 頭は痛いし・・。でも、薬に頼る訳にはいきませんでした。 なんとか撮影を終えましたが、どうだったんでしょうか。監督の指示にちゃんと応える事ができたんでしょうか。 とりあえず、放送を見てみる事にします。 (Mar 28,2014)

・03/03「口から単語が出て来ない(神谷玄次郎捕物控)」

台本を読んでいると、なかなか口から出て来ない単語が必ずと言って良い程出て来ます。 その代表的な単語が、店の名前や人物の名前などの固有名詞です。これに関しては、私に限らず多くの役者さんが苦しまれているようです。 ところが、今回のセリフは普段から使っている一般的な単語ばかりであるのに、なかなか口から出て来ませんでした。 「粋な縦縞の着ながしで」と言う部分です。 「粋な」も「縦縞」も「着ながし」と言う単語もどれも普段から普通に口にしている単語です。 しかし、「粋な」と口にした瞬間、「縦縞」と言う言葉が出て来ないんです。何度やっても同じです。

今回は、台本を頂いてから撮影の日まで中二日しかありません。とにかく時間がありません。 何度も何度も繰り返し口にして覚えようとするのですが、なかなか「縦縞」と言う単語が出て来ないんです。

撮影の前日の仕事は、この役の為の衣装合わせしかありません。朝起きてからずっと練習。疲れて来たので撮影所に移動し、そこでも練習。 衣装合わせが終了してからも、ずっと練習。 長時間連続して練習しても脳が覚えてくれないので、「練習しては息抜きして」の繰り返し。

そうこうしている内に夕方になりました。この時点でも、数百回は口にしているのに「縦縞」が出て来ません。 翌日は朝9時開始で撮影です。間に合いません。

脳は寝る事によって、その日に覚えた事を整理して脳の中に定着させます。 と言う事は、その日のうちにある程度の所まではすんなりと口から出て来るようにして、それから少しでも睡眠を取ると言う事が必要になってきます。 その「ある程度」がどの程度なのか分かりませんが、練習量がその「ある程度」に達していないと撮影でもNGの連発になります。 睡眠時間が短か過ぎても、翌日集中力がなくなり、これまたNGの連発になります。(こちらでの失敗の経験も既にあります・・・。) 難しい。しかし、練習をするしかありません。

家の中で、体を動かさずに練習してもなかなかうまく行かないので、セリフを覚える時はいつも外を歩きながらと言う事にしています。

夕食を食べた後、外に出てセリフの練習して、帰って来てしばらく息抜きをしたら、また外出。この繰り返しです。 結局、「よし!これで行けるかも・・・この状態で寝れば、脳の中でセリフが定着して、明日の撮影ではなんとか乗り切れるかも・・・」 と思う事が出来たのは午前2時。不安は残るものの、翌日の為に眠るしかありませんでした。

結論から言うと、間に合いました。なんとか無事に撮影が終了しました。

本当に今回の撮影は大変でした。台本を頂いてから撮影の日まで中二日。ギリギリでした。 でも、せめてあと二日ほどあれば・・・。

そもそも、セリフ覚えが苦手な私ですので、監督の皆さん、私を使ってくださる時は、私の勝手な都合ではございますが早めに台本を下さい。 そして、撮影直前でのセリフの変更なんてありませんように・・・。 (Mar 03,2014)