日記のページ(2018、19年)です。

・'20 03/26「英語の通訳(探偵・由利麟太郎)」

普段とは ちょっと違うお仕事を頂きました。通訳のお仕事です。 キャストの中に 外国の方がいらっしゃいまして、その方が ほとんど日本語を喋れないそうで、 その方と監督ほか スタッフとの会話の手伝いをしてほしいとの事。 2006年に「バルトの楽園」で、ドイツ人キャストの方に日本語のセリフを教えるというお仕事以来の 英語関係のお仕事です。

日常会話やショーの中では よく英語を使ってコミュニケーションを取る事がありますが、 撮影の中で監督の指示をうまく伝える事ができるのか心配でした。 とは言うものの、せっかく推薦していただいたお仕事 引き受ける事にしました。

この外国の方は 日本語はつたないものの 日本で英語の先生をされているそうで、 私の為に 割とゆっくりと喋ってくれました。 待ち時間などには、いろんな話をしたり 私に正しい英語を教えてくれたりと楽しい時間を過ごさせて頂きました。 クリスさん、そして、このお仕事を私に下さった方、ありがとうございました。

それにしても、このところ いろんな事が起きて、私の生活が数年前をすっかり変ってしまいました。

2017年10月に 京都スタジオ所属という立場から 東映京都撮影所俳優部所属になりました。 2018年4月には、健康診断の結果で再診する事になり、異常はなかったものの エキストラの仕事を止める事にしました。 2018年9月には、台風21号がやってきて ロケスタが破壊され、建物もイベントも失くなってしまいました。 2019年4月には、母親が半年以上にも及ぶ入院生活。 2019年12月には、大道芸のイベントが映画村から失くなりました。 そして 2020年3月、新型コロナウイルスのせいで 映画村が一ヶ月以上の閉村となりました。 55歳にして もう隠居生活のような物です。 これから どうなって行くんだろう・・。(Mar 26,2020)

・'19 06/25「マルチカメラ(スカーレット)」

NHK朝ドラ「スカーレット」で、役を頂きました。NHKさんには、時代劇ではよくお仕事を頂きますが現代劇は今回が初めてです。

私は役者になってからずっと東映京都撮影所でお仕事を頂いてきましたので、 撮影現場にはカメラが一台、多くても二台というのが普通です。 そして、「カット毎にカメラ位置が変わり、カット毎に撮影を重ねていき、 編集室で監督が立合い編集がなされて作品が出来ていく」という撮影の方法に慣れています。

ですが、東京や大阪から来られている役者の方からは、テレビ局などでは 「現場に多数のカメラがずらっと並んでいて、その前で役者はシーン全体を通して芝居をし、 担当のスタッフが芝居に合わせてカメラを切り替えてシーンと作っていく」という方法もあると聞いています。 聞いてはいましたが、今まで経験したことはありませんでした。それが、ついに・・・。

まだ自分が出演していないシーンの撮影中私が現場近くにあるモニターを見ていますと、 現場では芝居がどんどん進んでいるのにモニターの中の画面は次々と切り替えられてそのシーンが出来上がっていきます。 初めての体験。「なるほど、こんな感じかぁ。ずげ〜」って感じでした。感動です。

私が出ているシーンの撮影となり現場に入りました。短かいシーンだと言うのに片側にカメラがずらっと四台並んでいます。 すごいです。 いつもなら、カメラ位置を確認して、立ち位置などを計算して確認して、 カメラ位置を意識しながらお芝居をするのですが、四台もあるとどのカメラを意識してよいのか分かりません。 で結局今回はカメラ位置をあまり意識しないことにしました。 立ち位置をあまり気にすることなく芝居をできる分、気分的に楽ではありましたが、 本番中芝居をしながら 「この人のこのセリフの時は、今の位置でいいのかな?ん?隠してないかな?」と やっぱり頭に浮かんできました。不思議なことです。 とにかく無事に誰も隠すことなく一回の本番で撮影終了しました。いや〜、楽しかったです。

貴重な経験をありがとうございました。(Jun 25,2019)

・'19 04/28「動きを作る(科捜研の女)」

「科捜研の女」で、役を頂きました。良い人と悪い人を同時にやれる大変面白い役です。 撮影現場では撮影の前には、シーン毎にリハーサルを行ない、 出演者の動きや言い回し、心情の変化などを決定していきます。 最初のリハーサルの時には、監督からは動きなどの細かい指示はありません。 各役者が読んできた台本を元に、自分の思うように動きセリフを喋ります。 その最初のリハーサルを見て、変更点などの演出が監督からいろいろなされます。 この「シーンが生まれる瞬間」が本当に楽しくて好きです。

それにしても、私はいつから自分で動けるようになったんでしょう。 撮影の仕事を始めた若い頃は、勿論、どう動けば良いのかなどを自分で考える余裕はなく、 監督から指示された動きや演出に必死に応えなきゃいけないと思いで精一杯だったはず。 それが、いつの間にか、監督から細かい指示を出されない場合であっても、 自分なりに動く事ができるようになっていたようです。

いつから「自分で動きを作らなきゃいけない」と考えるようになったんだろう・・・。 過去の出演リストを見ながら考えてみました。

この考えを最初に意識したのは、多分、2012年に撮影された 「刑事魂」の撮影直後だと思います。 この作品では、監督が元々は台本になかった役を作って、私を使ってくれたのです。 衣装合わせの時に、私の役のイメージを監督が私に伝えてくれました。 勿論、その期待に応えようと練習をしましたが、撮影が終って監督に挨拶に行くと浮かない顔。 私は監督の期待に応える事はできなかったんです。 去って行く監督を追いかけ、私の何がいけなかったのか直接聞く事にしました。 すると、監督からは「◯◯(役者名)がやっていたら、バーンと机を叩いて喋っていたはずだ」 監督からの動きなどの指示は全部応えていたつもりでしたが、それだけじゃいけなかったんです。 監督のイメージを実現するには、もっと役を作り込まなきゃいけなかったんです。 動きやセリフの言い回しを自分なりに作っていかなければ いけなかったんです。 多分、私の意識が確実に変ったのはこの作品からだと思います。

これからも、益々、がんばって参ります。 (Apr 28,2019)

・'19 04/27「カンニングペーバー」

先日、インターネット上で見ることができるコマーシャルのお仕事をいただきました。 オーディションがあり、仕事が決まってから撮影の日までは かなり時間がありました。 セリフも入り、安心して撮影の日を待っていますと、撮影のリハーサルの前日に改訂台本が・・・。 かなり長い商品名が入ったセリフが追加されていました。ん? ただでさえ、撮影の度にセリフ覚えで苦しんでいる私です。前日に渡されて、うまくいく自信がある訳がありません。 とはいえ、そこはお仕事。ほぼ徹夜でセリフを覚えようとがんばりましたが、どうしても商品名が口から出てきません。 リハーサルの結果は惨々なものに・・・。撮影の本番は翌日。この日も、徹夜です。

家に帰って早速練習。しかし、あまりにもセリフが出て来ないので苦しんでいると、 以前に聞いた事がある方法を思い出しました。 その人は、いつもセリフを文字に書いて覚えているそうです。 こうなれば、イチかバチか、やってみるしかありません。

自分で紙にセリフを書いて、その文字を見ながら練習をしていると、ん・・・? 気のせいでしょうか、その紙を見ていなくても、書いた文字のイメージが頭に浮かぶようになりました。 すると、その商品名が何故かしらスルッと口から。

「撮影中に全くセリフが出てこなくなったので、共演者の背中にイメージでセリフを書いて、 セリフを喋る時はその人の背中を見ながら喋って、なんとか乗り切った」という記事を、 過去にこの日記のページに書いたことがあります。この理屈の事だったんですね。 文字のイメージの威力というものは、相当なものです。実感しました。 次に、台本をいただいたら、是非とも この方法をもう一度試してみます。 もし、この方法が私にとって効果があると分かれば、大きな武器になります。 (Apr 27,2019)

・'18 12/03「変な緊張・・(刑事ゼロ)」

今年(2018年)は、本当にいろんな事があった年でした。 パソコンの故障に始まり、次々といろんな家電が壊れて、買い替える事になりました。 9月の台風21号では、映画村でもかなり大きな被害が出て大事なお仕事を失う事になりました。 これは、かなりの痛手です。 そしてなにより、役者を始めてから30年ずっと続けてきたエキストラの仕事も諸事情によりこの夏にやめることにしました。 エキストラをやめて以来ずっと頂くことのなかった役のお仕事を、やっと頂くことができました。

裁判長の役です。 いつも、役を頂く度に、「このセリフ、何度練習しても、口から出てこない!」と苦しんでいる私ですが、 今回はそれほど難しいセリフがなく、なんとなく安心をしていました。ところがどっこい・・・

撮影の当日、変な緊張が襲ってきました。 久し振りの撮影だからなのか、それとも、法廷という固い雰囲気での撮影だからなのか。 はたまた、今回初めてのご一緒する監督の下での撮影だからなのか。 明確な理由も分からず、変な緊張感の中での撮影でした。 なんとか終了しましたが、大丈夫だったかなぁ・・・。 なにはともあれ、さぁ、これからも、変な緊張感に負けずに、がんばろ〜! (Dec 03,2018)

・'18 04/29「お久し振りです(黒書院の六兵衛)」

台本を頂きました。監督は、2014年公開の映画「幕末高校生」でお世話になりました監督です。 本当に楽しい撮影現場でしたので、今回も台本を頂けた事が本当に嬉しい事でした。 台本を頂いて、早速、監督に挨拶に行きましたら、「出世したね」と話をしてくれました。 前回の作品では「下男」の役。今回は「薩摩の将校」なんです。つまりは、出世していたんですね。

今回も前回同様に楽しい現場で、私が思うようにお芝居をさせてくださいました。 嬉しかったです。監督、ありがとうございました。 (Apr 29,2018)

・'18 02/09「無線の声(科捜研の女)」

役を頂きました。「科捜研の女」での無線の声の役です。

今までも、いろんなドラマの中で警察無線の声をしゃべってきましたが、 いずれもエキストラとしてのセリフでした。 役ではないので、ドラマ最後のクレジットにも名前は出てきません。

ですが、今回は出演シーンはなく、声だけの出演なのに役として扱ってくれます。 クレジットにも名前が出てきます。 私も役者家業は30年やっていますが、こんな事は初めてじゃないでしょうか。 不思議な気持ちになりながらも、本当にありがたい事です。 撮影に携わっているスタッフのどなたかが、気に掛けてくださっているという事でしょう。 ありがとうございます。これからも、がんばります。 (Feb 09,2018)